2022/10/12 13:37
お酒を楽しく飲みたい。
開発の原点は、実はそこにありました。
「酒のアテを、こうやって、ちょん、ちょん、ちょん…とちょっとづつ盛りつけて、お酒を楽しむのがいいんですよ。」
と、この一言に尽きます。
製品名称の「一人膳八寸(ひとりぜんはっすん)」も、日本料理の献立のひとつで山の幸・海の幸を数種類盛りつけた酒肴「八寸」にちなんでつけたものでした。製品コンセプトには、ブレない、強い思いがあります。
ただ、お酒を楽しむ時間を豊かにしたいという思いを形にするに至ったのは一級建築士として住宅の設計施工などに関わるなかで、住まいに木の温もりを取り入れたいと思っている方が多いことに気づいたからでもあります。
手軽に使えて、いつもの食卓やくつろぎの時間に、ほんの少し上質感をもてるような製品として、この一人膳八寸がうまれました。
ひとりずつ盛りつけるもの、大皿で提供するメイン料理にピッタリのもののほか、床に直置きして、胡坐をかいて、ちびちび飲むシーンを想定したものなど住空間づくりに携わってきた建築士ならではのシーンを想像する視点が活かされています。
暮らしのどんなシーンで使うか…だけではなく、素材となる木にもこだわりがあります。
使っているのは、おもに兵庫県産の広葉樹で、クリ、ケヤキ、サクラ、カエデ、エンジュなど。原木市場で丸太で仕入れて、自社の製材工場で製材をして、一枚板の状態で乾燥させて加工します。
広葉樹の特長は、スギやヒノキなどの針葉樹に比べて曲がりくねっていることが多く、個性にあふれている点です。
このまがりくねった一枚板の、どの部分を使うか。
そこは、何十年と木を扱い続けてきた製材所の木のプロフェッショナルとして、曲線や、フシ、木の耳(木の皮の部分)、木目のでかたなどを見ながら、一人膳八寸のサイズにカットしていきます。
例えば、このクリ。フシがごつごつとして、野趣あふれる一枚です。
どんな料理を盛りつけようかと、想像力が湧きたち、食卓では料理の話だけでなく、この木のことについても語りあいたくなるような力をもっています。
お酒を楽しく飲みたい…から始まったものづくりですが、同じような思いを持つ方のもとで、一人膳八寸が美味しいお酒の時間を紡いでくれたら、これほどうれしいことはありません。